大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和29(れ)7 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人秋山要、同菊地圭作の上告趣意第一点乃至第三点は単なる訴訟法違反の主

張であり(原判決の認定した事実によつて十分横領罪の成立を認めうるのであつて、

第一点所論の違法はなく、原判決の説示は「旧刑訴事件の控訴審及び上告審におけ

る審判の特例に関する規則(昭和二六年一月四日施行)」八条に則つてなされたも

のであつて、第二点所論の違法は認められない。また旧刑訴三六〇条二項に所謂「

法律上犯罪ノ成立ヲ阻却スヘキ原由……タル事実上ノ主張」とは、犯罪の構成要件

に関しない事実でしかもその存在が法律上当然に犯罪の成立を阻却すべきものを主

張することを意味するもので――昭和二二年(れ)一七一号、同二三年五月五日大

法廷判決参照――、第三点所論のような犯罪構成要件である事実否認の主張はこれ

に当らない。)、同第四点は事実誤認、同第五点は量刑不当の主張であつて、いず

れも、刑訴四〇五条に該当しない。また記録を精査しても、同四一一条を適用すべ

きものとは認められない。

よつて刑訴施行法三条の二、刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文の

とおり判決する。

昭和二九年一〇月二八日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

- 1 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!